誰もが目指した夢の島。
いつからかそれは伝説となった。
それでも夢を追い続けた者達がいた。
勇敢な・・海の戦士達が。
そしてここに
新たな伝説が始まる。
━PIRATE━
「それで、船乗りの間にはもう一つ・・もう一つだけ伝説があるんだっ!!」
「もう一つ!!??」
「リシュア」から「ファール」へと島を渡る時、皆はここ「カウ」へと立ち寄る。
そしてココは「カウ」の中で1番賑やかで、「カウ」の中で1番遅くまで灯りがついている<カルア>と言う「カウ」の端にある酒場。
お酒の臭いが充満し、客が酔って暴れテーブルは倒れ、所々で酒ビンは割れている。カルアのマスターはカウンター越しに1人の若い男と話していた。まだ19歳ぐらいの若い男は金色の長い髪を後ろで一つに束ねていて、上には長袖のシャツ、黒のズボンをはいている。片耳に赤いクロスのピアスをつけていた。額にある大きな傷を時々指でなぞりながら、若い男はマスターの話を嬉しそうに聞いていた。
「もう一つって・・??」
「伝説の女の話しさ」
「何だ女か・・」
「その夢の島に住むと言われている」
「夢の島に??」
「ああ、夢の島の周りは何故かいつも嵐で、その嵐を命がけで越えた時・・聞こえるんだ」
「何が聞こえるんだ??」
「歌声が・・それはそれは美しい歌声だったと聞く」
「歌??・・歌か」
若い男は何か考え込むように黙り、グラスに入ったウイスキーを口に運んだ。
ガタンっ!!カラン・・カラン・・・
酒場の扉が勢いよく開き、酒場の中は一瞬にして静まった。皆の視線が扉に向けられ、若い男も回転する椅子を少し回し、扉を見た。体が大きく少し小太りの2mぐらいある男が扉から入って来て客を蹴り飛ばし、中央にある椅子へ座った。
「モーズ!!困るよ暴れられたら!!」
マスターはカウンターから出てモーズと言う男の側に近寄った。
「お前は昔から小さい事を気にしすぎなんだ!!・・おいっ!!連れて来いっ!!」
モーズが扉の外に叫ぶとモーズの手下と思われる男達が20人程ズラズラと酒場の中に入って来た。
「離してよっ!!」
男達の中から少女の声が聞こえて来た。手下の1人が一歩前に出て、少女の髪を掴みモーズの前に立った。少女は16、17歳ぐらいの容姿に、ピンクがかった腰まである長い髪、黒いワンピースを着て、首から淡い青色のペンダントをつけていた。