悪魔の天使 (31)

暁 沙那 2011-08-23投稿
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久しぶりに夢を見た。



『確か、もう一年たったのよね。』

金が舞う。

『私たちが出会ったのは奇蹟なの。』

少女らしい愛らしい笑みだ。

『愛してる。』

ほんのり頬を色付かせながらも、堂々と言う。

『愛してるわ。』

そんな彼女から不意に笑みが消えた。

『あなただけはどこにも行かないでね?』

――私を捨てないで。



いつの間に眠ってしまったのだろう。

リアはゆっくりと起き上がる。

金の髪が肩から滑り落ちて、青い瞳を隠した。

リアはそれにも構わず、先程の夢の意味を考える。

と、ベッドのはしにある何かに当たった感じかした。

素早く手元を見下ろす。

途端、勢いよく手を引いた。

触れていたのはレクスだったのだ。
寝ているのか規則的な呼吸が聞こえてくる。

リアは息を呑んで、その顔を見た。

黒髪が少し乱れている。
髪と同じ色をした瞳は閉じられていて見えない。
シャツは上の二つが外されていて、肌が少し露になっている。

隙間から覗く肌に気付いたリアの顔が、一気に熱を持った。

バッと身を勢いよく引いて、口元を押さえる。

否応なしに顔が赤くなるのを感じた。

(どうしよう……。落ち着かなきゃ……。落ち着け。落ち着け、私!)

どうにかしようと必死になって考えるが、上手く頭が回らない。

そうやって小さくパニックになっているところに

「んー……。」

小さく聞こえた声に驚いた。
口を押さえたままでいなければ、声が出ていたに違いない。

しばらくそのままで固まっていたが、あの呼吸が聞こえてきてほっとする。

リアは口から手を離し、そっとレクスの髪に伸ばした。

触った黒は思ったよりさらさらしている。

しばらく撫でていると、レクスの方から低い笑い声が聞こえてきた。

驚いて手を引こうとすると、逆にその手を取られる。

「きゃ!?」
「何で止めるの?」
「それはそっちがいきなり……脅かすから。」
「脅かしてなんかないけど。そっちが先に色々してきたんじゃない。」
「う…ん……。それはそうだけど……。」

レクスは悪戯っぽい笑みを浮かべると、ベッドに上がり、リアの隣に横になった。
そして、また眠りにつくのだった。

(ずっと側にいてくれたんだ。)

リアは先程と同じようにレクスの髪を撫でながら呟いた。

「ありがとう。」

たった一言、優しく。



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