アタシ神崎 音葉は
なぜか生れつき聴力に優れているのだ。
そのせいで、嫌なことまで聞こえてきてしまう。
だから、なんでも知ってる。
こんな耳は嫌いだ。
「神崎さん、あのね、
今日用事があって…
だから、日直の仕事代わってもらえるかな?」
「あ、うん。良いよ」
話しかけて来る奴は
こんな事しか言わない。
今日はお母さんの命日
だから良いわけがない
だけど、断れない。
「ありがとう。
神崎さんが日直の時に
代わるから」
「良いよ別に…
アタシ暇だから。」
「ホント?嬉しい
神崎さんありがとうね
じゃ、ばぃばぃ」
「ばぃばぃ…」
お母さんゴメンなさい…
今年は行くのが遅くなっちゃいます。
「人間てめんどくせ-な
自分の気持ちを正直に言えばいいのに。
バカみたい」
後を振り向くと
そこには天使のような羽を身につけた少年が机の上に座っていた。
「アンタ誰?」
「えっ!?」
その少年は
なぜか驚いていた
「なに驚いてるの?
意味わかんない。
早く質問に答えて」
「み、見えるのか?
お、俺のこ、事…が?」
「何を言ってる
当然だろ?」
何言ってるんだよこいつ
早く日直の仕事を済ませて帰らないと…
「そうか…
普通の人間には
俺の事が見えないはずなんだけどな…」
「なにブツブツ言ってるんだよ
アタシ日直の仕事があるから、じゃあね」
「あ、ちょっと待てよ」
あぁ-もぅ無視、無視。
関わってたらろくなことなさそうだし
そうしてアタシは
日直の仕事を済ませ、
お墓まで急いだ。