「なーに2人きりなの?」
こうしてカズヒロがいる時は普通のサユ。恐ろしい。
ちゃんと2人の会話も手話で教えてくれる。
「い、いや…そんなことねぇよな、アキ!」
カズヒロの高鳴りは終わった。
「あ!皆カレーじゃん!」
サユもカレーを頼んだらしく、驚いている。
「まぁ…。」
でも、1つ違うこと…。それは…。
サユはカズヒロの隣に座ったこと。
「何アキ…カズヒロの隣に座ったから嫉妬してるの?」
『違うよ…。』
サユが一瞬睨んだのが、怖かった。
「ほらカズヒロ、あーんしてよ、あーん。」
「おいやめろよ…。」
「…アキがいてもいいじゃん。アキも了承済み。」
そんなの、誰が了承するんだ。
アキは、ゆっくりと席を立った。
「おいアキ!」
カズヒロが追いかけようとするがサユに、
「逃げるつもり?」
と聞かれた。
「おまえ…最低だな。」
と返した。
それを見たユウタも、カズヒロに負けじと追いかける、
「負けたくねぇ…。」一心で。
廊下に差し掛かった時、カズヒロが捕まえた。
「アキ!!…。」
『分かってる…分かってるから…。』
アキはカズヒロにそう告げるのに精一杯だった。