レクスが目を覚ましたのは、あれから二時間くらい後だった。
リアはレクスが起きるまでの間、いつかと同じように移転させた魔法書を読んでいた。
夢中になって読んでいたからか、あまり時間は感じない。
逆に時間が早く感じた。
「おはよう、って言うべきなのかしらね。」
「今、何時?」
レクスはまだ眠いのか、どこかボーッとしながら聞いた。
そんなレクスに苦笑を浮かべながら答える。
「えっとね、午後の一時くらいかしら。」
「午後一時……。結構寝てたね、俺。」
まだどこか朧気だ。
「…リア?」
ぼんやりと呟くように名前を呼ばれた。
「そうよ?まだ眠いの?だったらもうちょっと眠ったら?」
「別に…いい……。気力で何とかする。……ただ…」
グラリとレクスの身体が前に傾いた。
リアの肩にレクスの顎が乗っかった。
リアが支えられるくらいの体重をかける。
「しばらくこうしていちゃ駄目?」
手が重なり合った。
リアの指の間にレクスの指が滑り込む。
「別にいいよ、こうしてても。」
助けてくれた少しのお礼に、手を握り返す。
(ちょっとだけだから。付け上がらないでよ?)
心の中で言った。
契約者なら通じると思って。
そう望んで。