悪魔の天使 (32)

暁 沙那 2011-08-26投稿
閲覧数[320] 良い投票[0] 悪い投票[0]

レクスが目を覚ましたのは、あれから二時間くらい後だった。

リアはレクスが起きるまでの間、いつかと同じように移転させた魔法書を読んでいた。
夢中になって読んでいたからか、あまり時間は感じない。
逆に時間が早く感じた。

「おはよう、って言うべきなのかしらね。」
「今、何時?」

レクスはまだ眠いのか、どこかボーッとしながら聞いた。

そんなレクスに苦笑を浮かべながら答える。

「えっとね、午後の一時くらいかしら。」
「午後一時……。結構寝てたね、俺。」

まだどこか朧気だ。

「…リア?」

ぼんやりと呟くように名前を呼ばれた。

「そうよ?まだ眠いの?だったらもうちょっと眠ったら?」
「別に…いい……。気力で何とかする。……ただ…」

グラリとレクスの身体が前に傾いた。

リアの肩にレクスの顎が乗っかった。
リアが支えられるくらいの体重をかける。

「しばらくこうしていちゃ駄目?」

手が重なり合った。
リアの指の間にレクスの指が滑り込む。

「別にいいよ、こうしてても。」

助けてくれた少しのお礼に、手を握り返す。

(ちょっとだけだから。付け上がらないでよ?)

心の中で言った。

契約者なら通じると思って。
そう望んで。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「暁 沙那」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ