08.
翌日。私はいつもの待ち合わせ場所で2人を待っていた。
5分過ぎても、10分過ぎても2人は待ち合わせ場所に来ない。
ミクちゃんに電話をかけても留守番電話に繋がってしまう。
仕方なく私は1人で学校に向かった。
*
学校について、私は2人の下駄箱を見に行くと、そこには2人の外ばきが入っていた。
何だ、先に行ってたんだ。
早く2人に会いたい。
ねえ、2人なら私が転校するの反対してくれるよね?
「あ! リュウ、ミクちゃん!」
廊下の向こう側から歩いてくる2人の姿を見つけた。
私は走って2人の方へ向かう。
「おはよ! 先に行くなら言ってくれれば――」
え。何で?
私の言葉を無視して、横を通り過ぎていく2人。
私は慌てて振り返って2人の名前を呼んだ。
でも立ち止まってくれない。振り返ってもくれない。
私は唖然としてその場に立ち尽くした。
何で? どうして?
私何かした?
ねえ、教えてよ。
*
放課後。玄関で2人を待っている私の頭の中では、ずっと今朝のことがループされていた。
きっとふざけてたんだよ。
うん。そう。
すると玄関に誰かがやってくる音がして、私はその方を向いた。
リュウ、だ。
「……リュウ」
私が名前を呼ぶと、リュウはチラッと私を見て下駄箱から靴を取り出した。
「ミクちゃんは?」
私がそう聞いてるのに、リュウは無言のまま靴を履き出す。
何で答えてくれないの?
「ねえ、リュウ――」
「うるせえな!」
え?
「お前ウザいんだよ! いつもいつも付き合わされて……こっちは迷惑してんだ!」
嘘……
「ピアノの天才とか知らねえけど。俺はお前のピアノは嫌いだ」
そう言うと、リュウは私の横を通り過ぎて玄関から出て行った。
――「お前ウザいんだよ!」
――「お前のピアノは嫌いだ」
友だちだと、思ってたのに。
ミクちゃんも、リュウと同じく思ってるの?
もうここには私の居場所はない。
そう思った。