「な…何よ…」
「なんで…聖を追いかけて来るの…?」
「なんでって…そんなの当たり前でしょ!?
家族なんだから…大切なんだから…!!」
「じゃあ、なんでっ…なんで聖をずっと一人ぼっちにさせてたの!?
聖が、どんな気持ちだったかわかる!?
あなたは『仕事だから』って仕事のせいにして、ただ聖の病気から逃げてるだけじゃない!!
聖は、こんなに小さな体でも一生懸命闘ってるのに…。大人なんて………大人なんて大っ嫌い!!」
羽琉の目からは涙が出ていた。
羽琉は聖の手を握ったまま走っていった。
「はあっ…はあっ…羽琉ちゃん、ちょっと待って…!」
「あ…、ご…ごめん…。」
羽琉は聖の手を離した。
「あ…の…、ごめん…。啖呵切るつもりは無かったんだけど…つい…感情がはいっちゃって……。」
羽琉は涙を拭きながら言った。
「ううん…ありがとう。」
「…よし!!」
「??」
羽琉はポケットから小さなハサミを取り出した。
「!?」
すると、
‐ジョキッジョキッ‐
と自分の長ーい髪を切りだした。
「えっ!?う…羽琉ちゃんっ!!?」
切り終えるとその髪を前に突き出した。
「聖は私が守る!この命に変えてもっ!!」
と大きな声で言った。
「…………」
聖は驚きのあまり、きょとんとしている。
そして…
「ぷっ……あははっ!」
と笑った。
「な…なによ!本気なんだからねっ!!」
羽琉は恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
「だって…それ、男の口説き文句みたいなんだもん!!」
聖はお腹を抱えて笑っている。
「……ぷ…ホントだ!」
羽琉も笑い出す。
「でも、髪の毛短くなっちゃったね…。」
「いいの!これは誓いの証なんだからっ!!」
「「…ぷ…!!」」
二人はまた笑い出した。
それから二人でお腹が痛くなるまで笑っていた。