『生きる』ということ。<10>

黒魔法 天使 2011-08-30投稿
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「な…何よ…」

「なんで…聖を追いかけて来るの…?」

「なんでって…そんなの当たり前でしょ!?
家族なんだから…大切なんだから…!!」

「じゃあ、なんでっ…なんで聖をずっと一人ぼっちにさせてたの!?
聖が、どんな気持ちだったかわかる!?
あなたは『仕事だから』って仕事のせいにして、ただ聖の病気から逃げてるだけじゃない!!
聖は、こんなに小さな体でも一生懸命闘ってるのに…。大人なんて………大人なんて大っ嫌い!!」

羽琉の目からは涙が出ていた。

羽琉は聖の手を握ったまま走っていった。




「はあっ…はあっ…羽琉ちゃん、ちょっと待って…!」

「あ…、ご…ごめん…。」
羽琉は聖の手を離した。


「あ…の…、ごめん…。啖呵切るつもりは無かったんだけど…つい…感情がはいっちゃって……。」

羽琉は涙を拭きながら言った。

「ううん…ありがとう。」

「…よし!!」

「??」

羽琉はポケットから小さなハサミを取り出した。

「!?」

すると、

 ‐ジョキッジョキッ‐

と自分の長ーい髪を切りだした。

「えっ!?う…羽琉ちゃんっ!!?」


切り終えるとその髪を前に突き出した。

「聖は私が守る!この命に変えてもっ!!」

と大きな声で言った。

「…………」

聖は驚きのあまり、きょとんとしている。

そして…

「ぷっ……あははっ!」

と笑った。

「な…なによ!本気なんだからねっ!!」

羽琉は恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。

「だって…それ、男の口説き文句みたいなんだもん!!」

聖はお腹を抱えて笑っている。

「……ぷ…ホントだ!」

羽琉も笑い出す。

「でも、髪の毛短くなっちゃったね…。」

「いいの!これは誓いの証なんだからっ!!」

「「…ぷ…!!」」

二人はまた笑い出した。


それから二人でお腹が痛くなるまで笑っていた。

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