白愛高校。
2年生クラスマッチのため、前日は午前中授業、午後は練習だ。
皆熱が入っている。まさに青春の1ページだ。
午後の練習の準備をしているアキは、ヒロに話し掛けられた。
「無理しなくていいんじゃないかな。」
無理しなくていい…。
そうだよね…。
私なんて…。
アキは、着替える予定のジャージを強く握りしめた。
「まぁ、アキちゃんが悲しむ姿、自分も見たくないからさ。」
『ありがとう…。』
アキはそう言って、着替えのため更衣室へ走っていった。
1人残されたヒロは、
「自分が1番…。アキちゃんの事分かってるのにな…。」
カズヒロにも気づかせてやりたい。ヒロはそう思った。
サッカーの練習は、サッカー部の人が主体となって、激しい練習をしていた。
カズヒロと、ユウタ。いつも以上に真剣で、2人とも何も話そうとしない。
ヒロもその2人に下手に干渉することはせず、黙々と練習をしていた。
「よし!休憩!」
カズヒロが指揮を取り、みんなを休憩させた。
カズヒロ、ユウタ、ヒロ。3人は近くにいるが、誰も話そうとしない。
重苦しい空気が、沈黙を生む悪循環。
しかし、その空気を変えたのは、ヒロだった。
「カズヒロ…。ちょっと話があるんだけど。」