「あぁ。」
カズヒロはヒロに呼ばれ、めずらしげに返事をした。
ヒロが呼び出すとは…。
「あのさ…。カズヒロは、アキちゃんのことどこまで分かってる?」
「はぁ?急に何言ってるの?」
「アキちゃんは、…サユちゃんにいじめられてるんだよ。バレーの練習行きたくないとか言ってて…。」
「サユに?」
「サユちゃんは、カズヒロの事が好きだから、アキちゃんのこと恨むようになったんだと思う…それで。」
するとカズヒロはヒロの胸ぐらを掴み、離れたところに連れていった。
「どうして教えてくれなかったんだよ!」
「どうしてって…。アキちゃん言ってた!アキちゃんが誘拐された時、カズヒロが、お前が言ったんだ。『助けるのはこれが最後』って。だからアキちゃん、辛いことがあっても絶対に助けを求めなかった。でも、我慢できなかったのか、俺に助けを求めてきたんだよ!」
ヒロは、掴む力が弱くなったカズヒロを、逆に突き飛ばした。
「最低だよお前は!」
温厚なヒロが、ここまで怒るのは珍しい事だ。
「お前はアキちゃんをずっと追い込んでたんだ!」
ヒロは少し、涙ぐんでいるようにも見えた。