繋ぐ終着点

ロロンガ 2011-09-05投稿
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にゃー、にゃー、にゃー

夜の公園に響く野良猫たちの声。

「うるさいの、ほっておいて」

猫の声に紛れて、女性の声がする。

薄く照らされた公園のブランコの上にその女性はいた。女性は両手でブランコの鎖を握りしめながら俯いている。

「うう、ぐすん」

顔を真っ赤にし、女性は俯きながら涙を溢していた。

ちなみに病気やら体の調子が悪いわけではない。

「ぐう、うえぇ・・・グスン・・・あの、バカ!!!」

泣いているのか、怒っているのか。

まあ、両方なのだろうが。

何故こんなことになっているかというと、

「なんで、お姉ちゃん置いてきぼりにしちゃうの!? なんで家出なんかしちゃうのよ、かなぁ〜・・・」

この女性、観城さきは実家を離れて妹と二人暮らしをしている。

しかし、一昨日『溺愛』する妹の観城かなが突然「少し家を開けます」とメールが来たきり、家に帰ってこないのだ。

動機などまるで心当たりがないさきは、とりあえず実家に報告し警察にも届け出を出し、仕事を休んで探したが見つからなかったのだ。

「学校にも連絡は行ってないし、かなの友達もみんな知らないって言うし。突然すぎてわけわかんない!」

長く綺麗な黒髪がグシャグシャにかき乱される。さきはそのまま頭を抱えて黙りこんでしまう。

そのまま5分程時間が過ぎた時、手にある携帯がブルブルと震えた。さきは疲れきった目で液晶を見つめる。

そこには知らない番号が表示されていた。

警察かもしれないと思い、通話ボタンを押して話しかけた。

「もしもし」

『お姉ちゃん?』

さきの表情が明るくなる。

「かな!? アンタ今どこにいるの?」

『あはは、ごめんね』

「ごめんじゃない! 早く帰ってきなさい!!」

『う〜ん、まだムリ』

「無理って。じゃあ迎えに行くから!」

『あ〜、それもムリ』

「なんで!?」

『だってそっちの世界じゃないし』

???

「ちょ、アンタ電波持ちだったっけ?」

『違うし、ひどい〜。まあ心配しないで、そのうち帰るから。じゃね』

一方的に電話は切れてしまう。

しかし、さきの頭から一つの言葉が離れない。

「そっちの世界?」



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