「助けに行くのなら行けよ!今だって、いじめられてるかもしれねぇんだぞ!」
「お…おぅ。」
カズヒロは、アキのもとへ走った。
ヒロは、その場に崩れるように泣いた。
ひょっとして、自分もアキの事が好きなのかもしれない。
でも、カズヒロがいるから、抑えてたのかもしれない。
だから、涙が溢れるのではないか。
するとユウタが探しに来た。
「おい、サッカー…。」
泣いているヒロを見て、ユウタの口の動きが止まった。
「どうした?」
「…ちょっと、保健室…。」
と言って、ヒロは逃げるようにその場を去った。
「お…おい…1人で大丈夫か?」
「うん。」
「そーか…。」
ユウタもそれ以上は干渉してこなかった。
体育館にやってきたカズヒロは、アキの姿を探す。
「アキー!どこにいる!」
アキがいない…どうして…。
カズヒロの近くの人にアキがどこにいるか聞いてみた。
「アキ…知らないかな。」
「アキさんなら…サユちゃんと一緒に出ていきました。」
やばい…。ヒロの言葉を思い出した。
『アキちゃんは…サユちゃんにいじめられてるんだよ。』
焦りはじめた様子が、顔にべっとりつく汗で物語っていた。