「今…どこにいるか分かるか?」
「すいません。そこまでは…。」
「分かった。手当たり次第探すしかねぇな…。サンキュー!」
カズヒロは校舎の中を隈無く探すことにした。
『助けるのはこれが最後』なんて言ってしまったから、アキは俺にこのことを言えなかったのか…。
悔やんでも、悔やみきれない。
教室…。図書室…。視聴覚室…。物理室…。
色々探したが、いない。
校舎を一通り見たカズヒロは、次に『多目的棟』という少し離れた所にある、集会や講義をする建物へ入っていった。
入り口に差し掛かった途端、何やら音が聞こえた。
バレーボールのような物を、勢い良くぶつける音…。
音だけ聞いているだけで、体が痛くなるような…。まさか…。
カズヒロは、全力ダッシュで音のする方へ…。
「多目的ホールか…。」
カズヒロは中へ入った。
「アキ!」
そこには、バレーボールを本気でアキに当てるサユと、ロープで縛られて身動きがとれないアキがいた。
何度もぶつけられたのか、全身に血がにじんでおり、生々しく、痛々しかった。
「アキ!大丈夫か!」
サユの事はおいておこう…。それよりまず、アキを保健室へ…。
カズヒロはアキを抱えて、保健室へ連れていった。