綺麗な黒い髪に女の子ような綺麗な顔立ち。
真っ黒で吸い込まれそうな瞳。
誰も寄せ付けないような強い瞳。
それでいてどこか寂しそうな瞳。
私が召喚された魔法陣の先にいたのはそんな人間の青年だった。
「あなたが…私の契約者?」
私は沢山の不安と少しの期待を胸に抱き恐る恐る彼に尋ねた。
彼は一瞬優しく微笑んだように見えた。
しかし、それが見間違いであったことを私はすぐに痛感する。
彼は私を見るなり、首を傾げた。
そして眉間にシワをよせ、不機嫌な表情で私の顔を眺め言い放った。
「なんだ?貴様は?」
これがこの人間と私の出会い。
もちろん第一印象は最悪だった。
時は21世紀。
かつて人々に信じられ、恐れられてきた魔法や悪魔の存在は科学の存在によって人々の心から消え去った。
しかし、悪魔や魔法は確かに存在しその多くは人間の住む世界とは異なる世界にあった。
この物語は上記の出会いの数時間前、悪魔の世界の少女からスタートする。