繋ぐ終着点 2

ロロンガ 2011-09-07投稿
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街の明かりが届かない夜道。

さきはその道を歩いていた。手にはコンビニの袋。中にはおにぎりとペットボトルのお茶が入っている。

足どりは重い。

彼女の妹、観城かなの謎の電話から五日。彼女は依然として帰ってこない。電話があったことで家族や警察には自分の早とちりで、『かなは遠くの友達の家に遊びに行っている』と説明した。

「変な宗教に入ってなきゃいいけど」

しかしさきの最大の悩みは、かなの『そっちの世界じゃない』発言だった。結局何がそっちの世界じゃないのか分からないままだ。

そんなことを考えながらいると自宅近くまで来ていた。ふと、自分たちの部屋がある方向を見上げる。

「え?」

マンションの六階。左端の部屋、誰もいないその部屋に明かりがついていた。

「帰ってる?」

かなが帰っているものと思い、さきは玄関ホールを抜けてエレベーターで部屋の階まで昇る。

小走りに部屋の前まで行き、ドアノブを捻り、

「カギ開いてる。かな!? 帰って来てるの?」

勢いよくドアを開けた。

しかし、部屋にいたのはかなではなく、

「ほはぁ!?」

とすっとんきょうな声をあげた見知らぬ少女だった。

「・・・かわいいドロボウさんね」

さきは後ろ手に玄関のドアを閉めて鍵をかける。少女は二、三歩後ずさった。さきはその少女に言葉をかける。

「アンタ、まだ若いから素直に謝れば警察は許してあげるわよ」

「ち、違う!? 忘れ物を取りにきただけ、です!」

少女は特徴的な長いポニーテールを体の前で抱くようにして言葉をつくる。

「ここにあるって聞いたから取りに来ただけ! なんです・・・」

「他人のアンタがなんでうちに忘れ物すんのよ!」

「わ、私のじゃなくて、かなっちの・・・ってどわぁ!?」

少女が言い終わらない内にさきは少女を力任せに押し倒していた。

「かなっちって、かなのことでしょ! アンタ居場所知ってるのね? 案内しなさい」

「それはムリ、ですよ!」

「『そっちの世界』だから?」

「・・・それもそうだけど、私がかなっちに怒られちゃう」

『そっちの世界』の否定はなかった。

「平気よ」

さきは力を緩めて言う。

「怒るのは私だから」

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