バイトをはじめてちょうど一週間が経とうとしていた
その日はまたけいさんと同じシフトだった
特に何を思うも考えるもなく
ただ仕事に集中していた
その時
「なんで、泣くの?」
っていきなり声をかけられた
けいさんの方をむくと
けいさんが泣きそうな顔をしてこっちをながめていた
あたしは笑って
「何言ってるんですか、泣いてませんよ」
って答えた
「何に傷ついてんの?何を諦めてんの?」
って、にこりともしないでけいさんは聞いた
「いきなりどうしましたか?」
って次はあたしが尋ねた
けいさんはふーんって顔をして
それ以降は何も聞かなかった
傷ついてなんかいない
悲しくもない
でもたしかにあたしは諦めていた
普通の恋愛や普通の生活とか全部
つづきます