誰もいなくなった多目的ホール。そこにはサユの笑い声がずっと響いていた。
しかし、数分経つと、笑い声が、泣いているように変わった。
「どうして…。」
その言葉を、サユは繰り返していた。
許さない…。
サユは、完全な悪魔になっていた。
保健室。
「失礼します。」
カズヒロはアキをベッドに寝かせた。
「ここ、いいですか。」
この言葉を後に言うほど、カズヒロは焦っていた。
アキがこんな目にあうなんて…。目も開けない。
その次には、自分の発言に対する後悔。それが、波のように襲う。
先生が近づいてきて、アキの看病をしてくれた。
「酷いわね…。クラスマッチ前日なのに…。」
「あの…。」
カズヒロの言いたいことは分かるかのように、先生は宥めた。
「誰かにやられたのね、これは…。」
「俺が傍にいなかったから。」
カズヒロは悔しかった。この言葉が今、頭を過る。
「アキちゃん…クラスマッチ何やってるのか分かる?」
「バレーボールです」
「じゃあきっと、バレーボールで…。」
「そうです。俺が駆け付けたときには、もう…。」
すると、保健室の扉が開く音が。
「失礼します…。」
入ってきたのは、ヒロだった。