リアの感じる妙な胸騒ぎの原因。
それはレクスにエリーを任せていいのか、ということかもしれない。
リアはそう思うことにした。
義妹と言っても家族だ。
心配しないはずがない。
でも、それじゃない。
「どうしたの?」
いつもと変わらない笑顔でそう聞かれた。
「ううん。エリーと結婚するんだったら、ここじゃなくてエリーの所に行った方がいいんじゃないの?」
自分でも驚くほど弱い声が出た。
リアはいたたまれなくて目を伏せ、部屋を出た。
「…何やってんの…私……。」
リアは一人になりたくてあの場所に行った。
レクスはリアが出ていったすぐ後に電話をかけた。
『どうしますか?これから。』
電話の相手である男が聞いた。
「ん?ああ、まだ何とも言えないけど、でも、欲しいかな。」
『そうですか。』
レクスは不敵な笑みを浮かべて電話を切った。
ここにきたら見える。
『私は貴方を愛してる。』
優しい笑みで彼女はそう言う。
『もしディルが妹を、クロアをとったとしても、私は貴方を愛し続ける。
クロアでもない他の女でも同じ。
もし貴方が別の世界に行ったとしても、私は貴方を愛し続ける。
貴方が私を嫌いになったとしても、私は貴方を愛し続ける。
愛し続けることができる自信がある。
迷惑だとしても、それでも好きでいたい。』
真剣な眼差しでルかはディルを見ている。
『好き。好きよ。
愛してる。』
本当に愛し合っている者逹の口づけ。
何度見ただろう。
ルかは自分に似ているからか余計に気恥ずかしくなる。
と、同時に羨ましくもなる。
本当に愛してくれる者がいる。
リアはそれが羨ましかった。
(私はきっと彼に…)
膝を折り、体を抱えるようにして丸くなる。
闇に体を預けた。