シャドーオプス

ハバネロペッパー 2011-09-13投稿
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「勘違いなんだよ…」

「ん?」

「何で理解出来ないのかなあ…」

「え?」

「テロ無くすのに力じゃだめなのになあ…」

「…」

彼の横顔には、苦悩と苦痛と怒りと…数え切れない悲しみが、無表情な皮膚に影を刻んだ。

「力こそ正義っていう勘違いに気付けないんだな。抑圧は憎しみと反発しか生まないのになあ…」

「う…ん」

「力無き正義は無能也は正しい。でもな…」

久しぶりに会えた彼はいつも通り優しい彼だった。

でも、会う度に瞳に沈殿していく悲しみは増えている。

ねえ、今度はいつまでいられるの?

その問いかけが喉の検問所で制止される。

ピピピ!ピピピ!

彼の携帯が突然、せっかくの二人だけの時間を断ち切る。

「ごめん…行かないと…」

「うん、気をつけてね」

優しい過ぎる包容と甘すぎるキスを残して彼は出て行く。

向かうのはカオスという言葉すら軽すぎるエリア。

アフガニスタン

アメリカ海軍特殊戦部隊シールデベロップメントグループレッドティーム オペレーター としての任務の為に

テロリスト掃討の為に

彼は出て行く

平和過ぎる日本人には想像すらつかない地獄へと

善と悪だけでは説明出来ない闘いへと

彼は向かう

ほんのわずかな可能性を信じて

争いのない世界を実現するために

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