聖は紙袋をベッドの上に置いた。
「な…何これ…?」
「あ…あのね…」
聖は紙袋から小さな白い箱を取り出した。
「…これ。」
それを羽琉に差し出す。
「???」
羽琉の頭の上はハテナだらけだ。
「えっと…はい。」
聖は箱を開ける。
「こ…これって…!!」
そこにはピンクダイヤの指輪が光っていた。
「えへへ…」
聖は照れ臭そうに笑った。
「な…なんで…?」
「バレンタインって、アメリカでは、男の子が女の子にプレゼントをあげるってお母さんが言ってて…に、偽物だけどね!」
「…じゃあ、嫌そうな顔したのは…」
「だって、僕が羽琉ちゃんに渡そうと思ってたのに、僕が貰っちゃったらカッコ悪いでしょ?」
聖は笑った。
「はいっ!」
聖は羽琉に箱を渡す。
「あ…ありがと…」
羽琉はまだ信じられないという顔で箱を受け取る。
「よし、じゃあせっかくクッキー作ってくれたから食べよっか!」
「え?私も!?」
「もちろん!一人で食べるより二人で食べた方が美味しいでしょっ?」
「…うんっ!」
それから二人で食べようとしたら、看護師さんに見付かり怒られたけど、なんだかんだ言って看護師さんも食べていた。
皆で食べたクッキーはすごく美味しくて、また皆で食べたい、と羽琉は思った。
もう、そんな事できないなんて、その時は思ってもいなかった……