「それでは親族会議を始める。」
一族のものたちが集まる中親族会議の開始を告げたのは、現在ルシフェル家を取り仕切る分家のじじい…もとい父の叔父である源三だ。
なんでここで日本名がくるかは置いておいて、このじいさんは私が当主になることを一番反対している。
「やはりイリス様に当主は無理ですな。勉強、運動、戦闘能力すべてにおいて当主になるには不十分です。」
いきなりこのじじいは言いたいことを言ってくれる。
落ちこぼれの私が当主になるのは不十分なんて、そんなこと言われなくても私自身が一番わかってる。
だけど…
それでも私は当主の座を譲るわけにはいかない。
父がいないときに…
うううん。
父がいなくなった今だからこそルシフェル家本家の栄光を失うわけにはいかない。
「今はまだ確かに不十分かもしれないわ。でも、私だって本家の悪魔よ。いずれは当主に相応しくなってみせるわ。」
そう。こんなところで引くわけにはいかない。
いずれ父は帰ってくる。
それまでは本家は私が守らなくちゃ。
私は会議を囲むテーブルを叩き、自信満々にそう言い放った。
それに対してじじいはあからさまため息をついた。
「イリス様、いずれとは一体いつのことですかな。」
「ぐ…」
「イリス様ももう100歳になられる。優秀な悪魔なら十分にその才覚を発揮しているお年です。このお歳になられてその様子では当主なんてとてもとても。現に私の孫のリムルは…」
「源三爺さま、そこまでにして下さい。イリス姉様に失礼です。」
源三の嫌みを断ち切って会話に入ってきたのは、源三の孫リムルであった。