特別何もしてない部屋。
白に似た薄いピンクの壁に、木の大きな本棚。
本の内容は本棚の上から掛けてあるカーテンのせいで見えない。
そんなリアの部屋は甘い香りに包まれている。
いかにも女の子らしい部屋だった。
「ごめんなさい。何もなくて。」
遠慮なくベッドに座り込むレイに、レクスは内心呆れる。
「そんな気遣い別にいいわよ。お話しましょ。」
遠慮くらいしろよ。
ここはお前の部屋かよ。
何て思いながらレクスは部屋を出て戸を閉めた。
「でさ、リアは正直あいつのことどう思ってるの?」
「あいつってレクス様のことでしょうか?」
「呼び捨てでいいわよ?あんなバカ。いつもは呼び捨てでしょ?」
「はい……。」
雰囲気が最初とは全然違った。
リアはまた正直すごいと思った。
「あの人、レクスのことは正直言うとよく分かりません。
エリーと婚約話があるって聞いたとき、何か胸騒ぎがして……。
でもそれはレクスにエリーを任せていいのかってことだと思うし……。
でもそれは何か胸に落ちてこなくて、分かんなくて……!」
不意にレイの口元に笑みが浮かべられた。
「辛い?あいつのこと思うの辛い?」
リアはコクリと無言で頷いた。
「そっか。そうなんだ。じゃあ……。」
優しく横から抱き締められた。
「あいつを、レクスを本気で好きになってくれてありがとう。」
「好きに?」
「そう。その辛さはきっと恋だよ。」
――恋。
ようやく胸にストンと落ちてきた。
「やっと分かりました。レイ様、少し失礼してもよろしいでしょうか?」
リアの笑顔にレイは軽く伏せると片手を挙げた。
「行ってきなさい!」
「はいっ!!」
この想いを伝えたい。
私はずっと前、会って話す前から……。
あなたが好き。
片想いだったのだとしてもこの想いは伝えたい。
本物だから。