「じゃあ私、そろそろ帰ろっかな。」
羽琉が立ち上がろうとした時、聖が腕を掴んだ。
「…何?」
「…あの…えっと…ま、また明日…ね…」
「…?うん、また明日!」
羽琉は一瞬、聖に疑問を抱いたが、そのまま手を振って帰った。
「………」
聖が泣いているのも、気付かないで…。
‐次の日‐
「聖っ!来たよ〜!」
羽琉は元気良く病室に入る。
「……え?」
しかし、そこには聖の姿は無かった。
「聖…?」
(病室間違えた…わけないよね…)
そこにはしっかりと『202』と書いてある。
「あれ…羽琉じゃねーか!」
廊下に駿が立っている。
「しゅ…駿!!聖は!?」
羽琉は駿の肩を掴み、ガクガクと揺らした。
「ちょ…落ち着けって!とりあえず手を離せ!」
「あ…ごめ…」
羽琉は肩から手を外した。
「お前…本当に何も知らないのか…?」
「…うん…」
「…C棟の105号室に行けばわかる…。」
「…わかった。ありがとう!」
羽琉は急いでC棟へ向かった。
(ここかな…?)
‐コンコン‐
ドアをノックした。
‐ガラ…‐
ゆっくりドアを開ける。
そこにはベッドに横たわり、いろんな管に繋がれた聖と椅子に座っている薫がいた。
「羽琉ちゃん…」
薫が、か細い声で言う。
「これは一体…!?」
「昨日の夜、聖の病状が悪くなって…。
…もう、1ヶ月も生きられないって…」
「…う…そ…」
羽琉はその場に、崩れるように座り込んだ。