資源争奪だとか、文明の衝突だとか、兵器市場の創出だとか、まして自由のためだとか、そんな事柄は人類にとってだけの都合であり、この狂気の応酬合戦を人類に演じてもらうための契機にすぎなかった。
前線の兵士には、もはや戦う理由付けなど必要はなかった。
どうして戦うのか、そんなことはどうでもいい。
いかに凄惨に殺し合い、憎しみ合い、恐ろしいことをしてくれるか、それだけがこの戦争のテーマであったからである。
核や生物兵器などの旧世代の戦術から、さらに進化した人智を超えた戦いへ、より悲劇的に、より残忍に、より狂おしく、阿鼻叫喚が支配するおぞましい戦場こそが、イリス神への至高の供物として、準備されたものであった。
JU連邦兵士も、アリビア人も、実によく体現してくれている、この演出を図ったエイド人の中のさらに上位エイド人に仮装した神の使い達は、この戦いに非常に満足していた。
「最終戦争が楽しみだ。
JU連邦もよくぞここまで育ったぞ。
神対人類の最高の決勝戦を盛り上げるにふさわしい前哨戦だ。
さあ、我々の降臨の栄光に浴するだけの価値ある地獄(パラダイス)を、もっともっと地上に広めよ。」