悪魔の天使 (41)

暁 沙那 2011-09-25投稿
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男はリアに近付くと太った指で血を拭い取った。

露骨に嫌そうな顔を優しく撫で、また叩く。

それを繰り返され、息が上がってきたリアを男は押し倒した。

「――っ!やぁ!!」

リアは鎖もなんもかんも無視して暴れた。

「大人しくし…」
「いやああああっ!!!!」

自由な方の手足で必死に暴れるも、すぐに駆けつけてきた男達に掴まえられ抵抗出来なくされる。

手の鎖は短くされ、足もほとんど自由がない。

「いやぁ……。もう止めて……。」

リアはもうどうすることもできなくて力なく泣くことだけをした。

「しおらしいな。それもまた一興。」

男の顔がゆっくりと降りてきて……。

思考を止めた。





レクスにだけは会いたくない。

見られたくない。
知られたくない。

お願い、神様。

彼に知られるくらいならいっそここに縛って下さい。

…お願い……。





彼との記憶を棄てた。





その日からだ。

全ての抵抗を止めたのは。

「リア。」

男に呼ばれればすぐに行った。
作り笑いだってした。
あれほど嫌がった口づけも求められればした。

決して自分からはしたりしない。

夜は泣いた。
声も上げずに。
何故かも分からぬまま泣いた。

眠らなくなった。
眠れなくなった。

何も口にしなくなった。
何も口に出来なくなった。

光が消えた。



あれから一ヶ月が過ぎようとしていた。

「リアは?」
「分からない。最後に会ったのは多分私よ。あんたを追いかけてどっかに行って…それっきりよ……。」
「これ。俺宛の手紙。」

手紙にはリアのこと、リアの写真、リアにあげた指輪が同じ封筒に入れてあった。

写真には縛られた状態でぐったりとしているリアが写っていた。

服は薄着の上、太ももら辺に乱暴にはだけられたスカート。
涙の跡。
頬の赤み。
口元の血。

全てが腹立たしかった。

リアをとられたこと。

泣かせたこと。

全て。

「リア……!!」

必ず助ける!!

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