そのパメラからCIAにもたらされた情報は、局員達の興味をひくには十分過ぎる程だった。
自爆テロ犯養成工場とも呼べる程の場所があるかもしれない
CIAは局員を向かわせようとしたが、パメラの情報によれば、危険レベルは最高だとの事で、CIAは急遽デブグル隊員を送り込む事を要請したのだった。
そこで、白羽の矢がたったのが僕だった。
僕は夜中に誰にも見られずにパメラの家へと入った。
そして、地下室が僕の作戦準備室となったのだ。
パメラからはまず、言葉に関するレクチャーを受けた。
僕は六カ国語を話せる。
勿論、アフガンでの言語はかなりの数ー方言など含め話せる。
が,より完璧を期する為にはパメラのレクチャーは必須だった。
次は慣習だ。
アフガンとはいっても広い。
ほんの僅かな地域差で慣習が違う。
そして、肝心の自爆テロ犯養成工場の情報だ。
二週間かけてパメラから全てのレクチャーを受けた。
その二週間の間は一切風呂もシャワーも体を拭く事さえしない。
垢まみれになることが偽装の第一歩だからだ。
そして、いよいよ自爆テロ犯養成工場の偵察へと向かった。
僕は白人より溶け込み易い容姿をしている。
案の定、誰一人僕を訝る人間はいなかった。
パメラの情報に基づき、それらしい家屋の周辺の偵察から入った。
ありきたりの家並みだった。
が,僕の鼻腔を刺激した匂いがあった。
爆薬の匂いだ。
その家はすぐにわかった。
夜半になると、僕はその家を監視できる場所を探した…が、あいにく、どうしても距離を取ることを余儀なくされた。
仕方なく、僕は家屋内の会話を傍受するため、その家屋の壁にコンクリートマイクを仕掛け、会話の内容の分析に集中した。
どうやらパメラの情報は確かだったらしい。
しかも、そこには幼い子供が複数いるらしかった。
ひたすらに洗脳するための言葉が聞こえてくる。
僕は何としても家屋内を確認しなければならなかった。
その為には、細心の注意と大胆な行動をしなければいけない。
全ての気配を殺し、必要な情報を得なければならない。
そして、そこで見たものは、余りに非道な光景だった。