どうやら
「君の願いが子供に通じたようだ。」
え?
「どういう事?」
男は黙って片手をあげる。
赤ん坊が宙に浮き上がり、光に包まれた。暖かそうなその光は、赤ん坊を抱き上げやがて赤ん坊の中へ吸い込まれていった。
さぁ
「十分だけ時間がある。その間はこの子に触れられる。」
ああ
「本当?!・・でもさっきはだめだって、どうして?」
男は赤ん坊を女に渡し、
俺は
「この子達の最後の願いを叶え、魂を導く為にいる。これは、この子の願いだ。」
「ああ、愛ちゃん、ママとってもあなたを抱っこしたかったわ。」
女は赤ん坊を
ぎゅ
と大事に抱きしめた。それから色々赤ん坊の世話をやき、何度も何度も名前を呼んだ。
別れ際、
「この子をよろしくね。」
と赤ん坊を男に渡した時、
ママ、ママ
早口で、でもしっかりと母親を呼んだ。
女はその場に泣き崩れた。
男は赤ん坊の頭を優しく撫で、女の側にしゃがみこんだ。
心配ない
「この子は、お前の分まで神様が愛してくださる。」
そう言い残し、赤ん坊を連れ、消えていった。
その日、女の部屋からはずっと泣き声が聞こえたという。
さぁ、
「お行き。」
男は抱えた赤ん坊をゆっくり光に渡し、また頭を撫でた。
また
「帰っておいで、・・今度生まれてくるのは、三年後だ。」
光は、赤ん坊を受け取ると大事そうにあやしながら、天へと昇って行った。
「お?!」
男は急に懐が暖かくなるのを感じて、それを取り出した。
「そうか、お前も望みが決まったか」
ん?なに何
そうか
じゃぁお行き、今度はちゃぁんと生まれてくるんだよ。
三年後、あの女は3600gの大きな男の子を出産したという。
側には女よりも少し小柄な男が、寄り添っていた。