戦場の本質とは、大義だとかとは無縁の、破壊殺傷の応酬にすぎなかった。
最初は正義のためとか、民族のため、あるいは邪な目的のためであっても、理由があって兵士は、戦場に入るのかもしれない。
理由に基づいて敵を殺害する兵士は、戦場下においては、正常とさえいえる。
しかし、やがて戦場の狂気にとりつかれた兵士は、理由なく殺戮すること自体が目的となり、あまつさえ、武装勢力や特殊任務群といった日常的な破壊殺傷を任務とするグループ内では、 残酷に非人間的にふる舞える者が、度胸者として一目置かれる、といった非行少年グループの悪行比べの様な程度の低い価値基準が横行する。
ゴルフと称し、捕虜の頭を鉄パイプで撃ち、いかに少ない打数で殺せるかとか、視界を奪い全裸で拘束した者を、いかにうまく狂わせられるかとかを競いあい、捕虜をいかになぶり殺したかを、自慢気に話し、その様子をピースサインをだしながら写真にとり、仲間から「悪いやっちゃなー!」などと称賛され、優越感に浸る感覚は、幼い精神そのままに、残忍さだけが先鋭化したものといえる。