CIAからの指令が届くまでの3日間、僕は可能な限り情報収集をしていた。
ターゲット周辺の状況や住民達の素性、ターゲットの間取りから入り口、窓の数、出入りする人間。
そして子供達の様子。
おおよそ10歳から13歳あたりの男の子が三人と、同じく10歳位の女の子が一人。
彼等はみな麻薬漬けにされ、映像と言葉により洗脳されていた。
こんな幼い子供達を麻薬漬けにするなんて…
湧き上がる怒りを僕は必死で抑えた。
子供達を救出しないと…
はやる思いにブレーキをかけもう一人の自分を空中へ放つ
客観的になれ!
お前の与えられた任務は何だ?
あの子供達を救出してどうするんだ?
何が出来るんだ?お前に
何が出来るのか…
彼等は多分、麻薬により脳に少なからず損傷を受けているだろう。
一生涯、麻薬や洗脳のフラッシュバックに苦しむかもしれない。
だからと言って、爆弾を巻きつけられては死なせるわけにはいかない…
俺に何が出来るんだ?
いったい
そして届いた指令は テロリストを殲滅せよ…但し、リーダー格の男だけは生きている状態で確保せよ
リーダー格の男を僕は勝手にマスターと呼んでいた。
意味は無い
別の男のひとりはノーズ。
鼻がやたらとでかいからだ。
もうひとりはマカロニ。
映画マカロニウエスタンにでていた何とかいう俳優にそこはかとなく似ているからだ。
生きている状態で確保せよ…か
僕は必要な装備の一覧をバフに送った。
その夜、バフ、ウィ、チェスの三人が地下室に集合した。
「相変わらず化けるのがうまいなJJ」
バフがしげしげと僕を見つめながら笑った。
「それに、ひどい匂いだ」
ウィが鼻をつまみながらからかった。
「基本だろ?」
僕は三人を見回しながら得意げに鼻をならして見せた。
やっぱりティームの仲間はいい
「さて、皆様、お仕事の時間でございます。」
チェスが大げさなジェスチャーでテーブルを指した。
「状況は…」
知りうる限りの情報を僕は伝えた。
「確保せよか…難しいな。自爆でもされたら元も子もない」 チェスが眉間にシワを寄せながら呟いた。
「ああ、そうなれば俺達も吹き飛ぶ」
バフが天井を見上げながら言った。