またエイド人は、戦争遂行の対立軸を作るためと、人の統治形態の実験として、政治思想、すなわちイデオロギーを各国に設定した。
大きな対立軸として個々人の「自由なお金集め」を保障した「自由主義」と、国家がお金を管理統制し、人々に分配する「共生主義」を作り、世界を二分させ対立させたのである。
また、各国内においては、右派左派双方を支援し、統治に有利な情勢をつくるためのさじ加減を行った。
勢力を相互に争わせ漁夫の利を得る戦略は、ポピュラーな業ではあったが、効果的であった。
近年、人の飽くなき欲望は、自由主義を渇望し、また共生主義も、結局はお金を扱う中央部が、これも欲望により腐敗、公平な分配など望むべくもなく、自らその存在意義を失い、史上最大の共生主義実験国家スラブ連邦などは自らその歴史に幕を降ろした。
JU連邦はひたすら、自由主義の拡大、すなわちお金集めのために戦争に使役させられ、その莫大な戦費の捻出を、さらなる戦争によってまかなうという宿命のスパイラルに囚われた。
このスパイラルを否定したり、断ち切ろうとした者は、大統領という地位の者でさえ処刑された。