「その先か・・」イリス神は重々しく口を開く。
「君達は、あの人類というやつらを、宇宙に出させられると思うか?」
他の神々は口を開かなかった。
イリス神は続ける。
「かつて、人類の中に、私の言葉を預ったヤソという者が、私に具申したのだ。
神の奇跡を人類に示し、人類を次なる次元へ導いてほしい、と。
すなわち、我々と同じ宇宙の、人類でいう神の一員として列席に加わりたいというのだ。
私は答えた。
その段階に人類は達したと、お前は思うのか、と。
ヤソは答えた。
今はまだ・・・。
しかし、人類には情愛や慈しみ、敬いとか献身という神に近づける素養を持っています。
いずれ、その段階に達したならば・・・と。
私は答えたよ。
ヤソの教えに、人類がどのような道をたどるのか、お前自信で試してみよと。
ヤソは、目を輝かせて、人類を導く試みを始めたのだが・・・」
「人類は、やはり欲望に根差した感性を発露し、ヤソをはりつけにしたのだ。
ヤソは裏切りを憎まず、献身を示すことで、人類に気付きをもたらそうとし、黙って刑死した。
だが、彼は泣いていたよ、私に何ごとかを詫びながら。」