アキの方を見ると、アキが口を動かして、
『ご、め、ん』
と伝えた。
「大丈夫だよ」
学校に着いた。
校門をくぐろうとした時、アキがもぞもぞしていた。
「どうした?」
『降ろして、恥ずかしい…。』
「あ、分かった。」
すると、アキの手から、お守りがカズヒロに渡された。
『タイミング…遅くなっちゃったかな。』
「えっ…マジでくれんの?」
カズヒロの顔が、分かりやすく照れていく。
『必勝祈願…。』
必勝…。
「サンキュー。…なんか…嬉しいな。」
アキは、カズヒロが子供のように喜んでいるのを見て、今の状況を少し忘れられた。
『頑張ってね。』
これが…恋なんだ。恋する乙女の気持ち。
アキも、自然に照れてしまった。
アキは、その後すぐにカズヒロと別れ、1人保健室で過ごしていた。
その窓から、グラウンドが見える。
「今日は、ここから見てた方がいいんじゃない?」
と、書かれたノートが保健室の先生から渡された。
アキは首を横に振ると、保健の先生は笑いだした。
「そう言うと思った。」
アキには…聞こえていないようだ。
バレーの試合はどうなったのだろう。
心の片隅で、そう思う。でも、思うたびに胸が苦しくなる。