学校にはきっと、サユも来てる。
サユ…
サユ…
サユ…
意識がおかしくなるというか、なんというか…
その状況に、保健の先生が気づいた。
「…アキちゃん!大丈夫?」
『…っ』
どうやら、過呼吸を起こしているらしい。
アキには、その自覚が恐ろしいほどなかった。
「今回は、体育館とか、行かないほうがいいと思うよ。」
『はい…』
「思い出しちゃうから…。」
…数分したら、過呼吸はおさまってきて、カズヒロが入ってきた。
「アキ様、お迎えに上がりました。」
その言い方が、執事みたいでおもしろかった。
『ありがと…っ』
「どうぞ、俺の背中にお乗り下さい。」
『バカじゃないの?』
アキはそう言いつつも、頬は赤い。
保健の先生も優しく見守っていて、
「もう、執事みたい。」と呟いていた。
「まぁ、リムジンとかは…ねぇけど」
『いいよ。期待してないから。』
カズヒロはアキをおぶって、グラウンドまで連れていった。
その道中。
「…ユウタ…。」
ユウタが仁王立ち。その顔には、笑顔なし。
「どうして教えてくれなかった…。」
「えっ?」
「ヒロから聞いた…。アキちゃんがサユに怪我させられたって…。」
「それは…。」