まずい!
ティームの者全員が焦った。
少年を何とかしなければ、近くにいるイラク兵にしらされてしまう。
早く捕まえて、飴やらガムでなだめすかすか、もしくは…殺す。
しかし…
マクナブ氏は書いている。
そんな事をして、一生悪夢を見続けるなんてまっぴらごめんだ
また、別なところでこうも言っている。
我々はSS(ナチス親衛隊)ではなく、 SASなのだ、と。
さて、話を戻そう。
「バフ、銃は何だ?」
バフは銃器のプロフェッショナルだ。
「取り回しを考えて、突入用はMP5クルツのカスタマイズバージョンだ。
バックアップにつくチェスはM4ショートカスタムにした。勿論、全銃サプレッサー装備だ。殆ど音はしない。 あとは…JJのリストにあったテイザーだな。これは?」
「マスター確保の時に使う。麻酔銃も検討したけど、効くまで時間がかかりすぎる。起爆装置を作動されたら元も子もない。ノーズとマカロニは急所を撃ち抜けば一瞬でフリーズするけど、生け捕りだとな。テイザーが一番じゃないかな?どうだろ?」
「ああ、一番だな。まあ、メーカーもなかなかいい物を作ったよ」
ウィが頷いた。
テイザーはスタンガンの一種で、電線の先に針が着いたものが二本、圧搾空気によって飛び出し、相手に刺さると、特殊なパルスの電流が流れ、撃たれた人間はもんどり打って倒れる。
最近では、アメリカの警官が装備し、効果をあげている。
また、9・11以降テロ対策の為、航空機のコックピットにも装備されている。
ただ、テロリスト対策にしては何故コックピット内のテイザー装備を発表するのか?テロリストに手の内を見せるような真似をするのか、僕にはちょっと理解出来ない。
その他の装備の確認をし、突入の具体策を練った。
「音が出せないとすると…侵入はどうするんだ?」
チェスが聞いた。
「マスターはほぼ毎日車で出掛けるんだ。どこへ行くのかはCIAが確認してるだろう。帰ってくるのはたいがい夜だ。その時を狙おう」
「他の二人はいつも家か?」
バフが銃の作動確認をしながら聞いた。
「ああ。出ないな。子供達の洗脳と、爆弾の細工で忙しいらしい」
プランは決まった。
それぞれの銃のゼロイング−照準を合わせる−をし、突入のシミュレーションを地下室で行った。
決行は翌日と決まった。