「子供達はどうするんだ?」
バフがマスターを立たせながら聞いた。
「保護する。こんなにされて…」
年端もゆかないこの子達の未来を思うと、無性に腹が立つ。
「行くぞ!」
マスターの車に全員乗り込みその場を離れた。
子供達はCIAが保護するはずだ。
ともかく、マスターをCIAの秘密基地へと連行しなければならない。
但し、細心の注意が必要だ。
さもないと、ファルージャでのブラックウォーターの連中の惨劇を再現する事となる。
マスターはトランクの中で眠ってもらっている。
外からは僕しか見えない。
バフとウィ、チェスは助手席と後部座席で臨戦態勢をとっている。
前方に米軍の装甲車が見える。
あまり良くない状況だ。
米軍はターゲットになる。
かといって、装甲車を下手に追い越せば、即座に弾を嫌という程撃ち込まれる。
なにせ、こちらは現地人に化けているのだ。
迂回するにも…と、考えを巡らせていると、いきなり爆音が響いた。
路肩に設置されていた遠隔操作の爆弾が装甲車を狙って爆発したのだ。
幸い装甲車は難を逃れたが、めちゃくちゃに発砲し始めた。
「クソ!」
僕の悪態にウィが反応した。
「お友達か?」
「ああ、奴らパニックっている。無駄弾使いやがって」
バフとチェスがゲラゲラ笑い出した。
「無理もない。奴ら動く的だからなそれに、俺達と違って弾はいくらでもある。たっぷり補給できるからな」
「そりゃそうだな」
僕はこらえきれずに吹き出した。
やっとの思いで秘密基地にたどり着いた。
ただ、それまでに何度も何度も追尾されていないか、道を変えチェックにチェックを重ねての到着だった。
前方の岩が突如動いた。
入り口だ。
さすがCIA
まるでハリウッドの映画だ。
地下に降りていくと知った顔が待っていた。
「久しぶりだなJJ」
「タック、久しぶり」
タックとはイラクで行動を供にしていた事がある。
「ここからは我々が引き継ぐ。ご苦労さん」
「タック。ちょっといいか?」
「何だ?」
「子供達はどうする?」
「心配ない。クリーニングティームが保護した。もう現場から資料も押収した。あの二人もな」
「そうか…あの子達は未来が…」
「心配するな。任せろ」