マコトが死んだ。正確には自殺した。遺書も残してあり、謝罪と呪詛の両方を兼ね備えていたらしい。遺書を読む前に檻の中に入れられた。
自殺した者を無死者と呼び、無死者の家族や親戚を志願者と呼ぶ、と法律で決まった。志願者は特殊な刑務所に集められる。そして人権がなくなる。
マコトが死んでから半日弱で警察が家に来た。人数が異常だった。それと志願者を乗せる輸送車みたいのが来た。本物をよく知らないが、人が乗るようなものではないことはわかった。椅子がなく家畜を運ぶような車だった。なんとなく血の臭いがした。気持ち悪い。
車を降りて検査された。服と持ち物は全部とられた。たぶん返ってこない。何も持っていないことを確認し、服をわたされた。ほんとにあんだな、こういうの。
部屋…というより小屋がたくさんあった。ここから家族ばらばらになり、一人檻の中に入れられた。
みんなも一人かな?ほかの志願者と一緒かな?もう会えない?
帰りたい…