光(2)

えびてん 2011-10-07投稿
閲覧数[311] 良い投票[1] 悪い投票[0]


少女にもらったキャンディーの甘さが口の中に広がる。

並んですわり、一緒に食べる。

不思議な感じがした。

くすぐったいような、恥ずかしいような。

ゴミから見つけたご飯を1人で食べるより何万倍もおいしかった。

「ねぇ、きみの名前は?」
ふいに少女が口を開く。

名前?

「そう。名前。」

僕の名前。

・・・わからない。

「ないの?」

僕はうなずいた。

なぜか少し悲しかった。

「じゃあ、私がつけてあげる!」

驚いた。

そんな言葉がでてくるとは思わなかった。

「そうだなぁ。…あっ!」
思い付いたように声を上げて真上を指さす。

「あなたの名前はソラ。きれいな青空っ!」

ソラ。

僕の名前。

なにもない僕の中に何かが生まれた気がした。

もぅずっと作らなかった笑顔が自然と浮かんだ。

すると少女も笑顔になり僕を見つめた。

「笑ったほうがすごくいいっ!」

僕達は笑いあった。

ふと上を見上げる。

澄んだ青い空が広がっていた。

いつもそこにあったのに久しぶりに見た。

僕も今みている青空のように誰かの心の中にうつるだろうか?

隣を見る。

少女が笑う。

この子の中にうつっていたいと強く願った。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「えびてん」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ