「で、私はどうすればいいの?」
ベッドの上に手をついて座り、上目でレクスに問うと笑みが返ってきた。
「楽しませてくれたらいいんだけど。何してくれるの?」
リアはしばらく俯き、考えていたが、いきなりレクスを見ると飛び付いた。
満面の笑みで。
「ねえ、私たち結婚するんだよね?じゃあ、宣戦布告しましょ?」
「宣戦布告?」
リアは更にニコッと笑って頷いた。
小広間に叔母、クロア、レイなどリアとレクスの関係者が集まっていた。
「結構集まって頂けましたね。」
ステージの上から薄らと微笑んだリアが言った。
「どうするつもりだい?リア。」
「どうするつもりって、まずはお訊きしたいことを訊くんですよ?」
「訊きたいこと?」
リアは頷くと笑みを消した。
「私には約二年前からの記憶がありませんね?何故ですか?」
「何故それを……!」
「彼と帰ってくるとき少しばかり思い出したのです。」
それは儚い記憶だった。
レクスは謝っていた。
しかしリアは記憶を消すのが、国からの命令だというのを知っていたから。
優しく頷いた。
「何故なのです?」
真っ直ぐに叔母を見ると叔母は一つ息を吐きリアを見た。
「お前と彼を別れさせ、彼をクロアと婚姻させるためだ。お前ではこの家の為にはならない。」
リアは少し唇を噛んだがステージの下からは見えなかっただろう。
「お前があの家に連れていたれたのも必要なくなったからだ。もうお前はこの家には要らないんだよ。」
広間にしばらくの沈黙が流れた。
それを壊したのは一つの笑い声。
リアだった。
「フフ…アハハハ…アッハハハハハハ!!」
ステージの上でいつもとは到底違う様子で笑う。
「アハハハ…ハハッ……ハーアッ……。」
顔を押さえていた手から少し覗いた顔は、殺気に満ちていた。
「ああ、そう。別にどうでもいいわ。」
手を下ろしそうスパッと言い切るとステージ裏の方をチラッと見た。
するとレクスがゆっくりと歩いてきた。
「リア。」
「…レク……。」
レクスの優しい声色に、さっきのが嘘のように表情を変え、目元を潤ませる。
「ほらね、やっぱり私は要らないんだって。だからもういいよ。」
唇を噛み、俯くと、レクスにそっと抱き締められた。
「無理、しなくていいから。」
リアは顔を上げると、足を伸ばして……。