するとユウタは、
「俺に話しかけづらくてもそれだけは言ってほしかった。」
「ユウタ…。」
カズヒロ自身、若干反省しなければならない問題。
「俺が悪いんだ」と1人で抱え込んで、みんなの力を借りないで…。
「あのさ…俺、カズヒロだから、素直にアキのことが好きだって言えたんだ。」
「…。」
「でも、言う事自体悪かったから、こうして衝突しちゃって…。俺どうしたらいいか分からなくなって…。」
ユウタの切実な想いを、カズヒロは改めて感じた。
「アキへの想いは変わらない…。けど、カズヒロには適わないと思った。」
ユウタの目に、涙が溜まってきた。
「伝えてほしかったけど…俺が全部悪かったから…。」
「そんなことねぇよ。俺も1人で突っ走ったから…。ヒロもたまたま知ってただけだし。」
恋のライバルになっても、2人の友情はそのままだった。
「ほら、泣いてる場合か。サッカーの試合、もうすぐ。」
カズヒロは、ユウタに喝を入れた。
ユウタは、頷いて涙を拭った。
「じゃ、俺行くわ」
「オッケー…。」
ユウタは励まされるとコロッと元気になる、分かりやすいやつ。
でも、この事で…アキの事がきっかけで、少し友情が深まったかもしれない。