グラウンド周辺のベンチに、アキを座らせた。
「ここは、絶好のロケーションでございます。どうぞ、お楽しみくださいませ。」
カズヒロは、私をおちょくっているのか。そう思うくらい、アキの笑いのツボである執事キャラを演じる。でも、周りの人からは好奇の目で見られていたので、その笑いは照れ隠しでもあったのだが。
「じゃ、見てろよ。」
『うん』
時々見せる真剣な顔に、私は惚れてしまったんだと思う。
最初の出会いなんて、最悪だったのに。
そうこうしているうちに、試合が始まった。
カズヒロはもちろん、ユウタとヒロも積極的に動いている。
首のお守りも、大切に下げてくれている。
それだけで、嬉しい。嬉しすぎて、叫びたい。
今の状態が、ずっと続きますように…。
開始10分。相手からのパスを横取りしカズヒロが猛スピードでゴールに向かう。
みんな立ち上がり、大きく口を動かしている…。
すごい…状況…。
アキも思わず立ち上がる。
カズヒロ…。シュート!シュートするんだ!
声には出せないが、アキは必死で祈った。
カズヒロがゴール前に来た。一瞬一瞬の緊迫感。アキにも伝わってくる。
カズヒロが力強くボールを蹴る。
ゴールキーパーは、カズヒロが蹴ったボールを受けとめようとしたが、できなかった。
〜作者からのお知らせ〜 グアムへ修学旅行に行くので、しばらく何も投稿しません。コメントも見たり、返したりできません。(通信料に対する恐怖から)
ごめんなさい。