これが僕らのバイオロジィ(3)

フジヒサ 2011-10-09投稿
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牛原が帰り、生物室に残された榊は溜息をついて鞄の中の文庫本に手を伸ばした。
メンバーの数人は現在採集に行っていて、榊の他に生物室にいる人間は少ない。
その残っている他の部員達も現在は日課の餌やりや掃除を終え、課題を問いているかまたは机に突っ伏して眠っている。
部室を騒がしくしている保坂や牛原や採集に行った部員達がいないため、生物室は静寂に包まれ、課題を問く筆音とハムスターの動く音だけが響く。
「……ふぅ」
榊は読み終えた本を閉じ、辺りを見回す。
気がつけば時刻は五時。傾きかけた太陽が世界をほんのり赤く染めていた。
と、がらがらと生物室の引き戸を開ける音が榊の耳に届く。
「保坂さん」
ホームセンターへ買い物に行った保坂が帰ってきたのだ。
「お、榊。牛原はどうした?」
「帰りましたよ」
やっぱりな、と保坂はホームセンターのマークが入ったビニール袋を机に置きながら溜息をつく。
「あいつ下校時刻までいること殆どないからな」
がさがさとビニール袋の中身を取り出すと、保坂はそれらを近くにいた後輩に渡してしまわせる。
榊もウサギ用のペレットを受け取ると、奥の準備室へと運んでいく。



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