僕はヘッドライトを消し、路肩に車を止めた。
ここからおおよそ50メートル位だろうか?
武装勢力は撃ちまくっている。
僕は愛用のレシーライフルを掴むと、白い衣を脱ぎ、下にきていた濃紺の米軍パイロット用のつなぎ姿で車から素早く出た。
他の三人も同様に愛用の銃を持ち、つなぎ姿で地を這うように車外へと出た。
辺りを素早く確認し、僕は近くの木によじ登った。
バフもチェスもウィも塀やら木によじ登って射席を確保している。
僕は木のなるべく高い所にに射席を構えると、身体を安定させ暗視スコープのスイッチを入れた。
最早、現場は武装勢力の独壇場だった。
空挺師団の兵士達はともかく弾をよけるだけで精一杯の有り様だ。
負傷者が出始めている。
僕はここから一番離れた武装勢力の車をターゲットに選んだ。
左ハンドルのその乗用車はこちらに頭を向け、助手席と後部座席から2人の男が身を乗り出して乱射している。
パシュパシュー!
助手席の男の頭に二連射を叩き込む。
ガクッと男は身体を折り、ドアに頭を叩きつけ小さくバウンドしてフリーズした。
すかさず後部座席の男にも二連射を叩き込む。
ついでドライバーをフロントガラス越しに射殺した。
手前の二台もチェスらによって全員制圧されていた。
周囲を確認していると、一台の車からRPG-7対戦車砲を構えた男が躍り出て空挺師団の車両に砲を向けた。
僕は男の頭の急所に一発弾をめり込ませた。
男は砲を構えたまま前のめりに倒れ込んだ…瞬間弾みで引き金が引かれたらしく道路に砲弾が発射されその行き場を失ったエネルギーが砲と男を吹き飛ばした。
いきなり銃声がやんだことに空挺師団の兵士達は混乱を来していた。
恐る恐る顔を上げ周囲の状況を確認している。
さあ、ここから素早く姿を消さないといけない。
同じ米兵ではあっても、こちらの存在さは気づかれてはならないのだ。
僕らは影のように車に戻り、ヘッドライトを点けずに猛スピードで走り抜ける凶器達の切れ目に車を突っ込むと、オーバーヒート寸前のフルスロットルでその混乱から離脱した。
「車を止めてからJJ が初弾を発射するまで約20秒。制圧して車に戻るまで約2分…みんな、評価はどうだ?」
コンピューター並みに記憶力と精密な観察眼を持ったチェスが皆に問いかけた。
いつも通りの習慣だ。