すてきなひと。
初めてみたときから頭のすみに必ずいて離れない。
気づけば目が彼をおっている。
見ているだけで癒される、そんな存在。
そんな彼は私のことを知っているだろうか?
知らないなら、悲しい。
…そうだ、手紙を書こう。
放課後の教室。
いきなり今日の放課後教室でまっていますはきつかっただろうか。
時計は手紙に書いた時間の1時間が過ぎた時間をさしている。
…帰ろう。
仕方ない。こちらの勝手な都合なのだから。
教室から出ようとした時、廊下からバタバタと足音がした。
「まだいる!?」
びっくりした。
彼が、きた。
私を見つけると安堵の息がもれる。
「よかった、まだいた」
胸が高鳴った。
顔が赤くなるのがわかる。
「あの…さ、この手紙って?」
私が書いた手紙をさしだす。
あぁ、そうか。
「えっと、そうですね…。」
なんのために書いた手紙だっただろうか。
「あなたに近づきたくて。もちろん、好意をもってです」
間違ったことは言ってないはずだ。
彼の方をみると、ぽかんとしている。
なにか違っただろうか。
「初めて見たときからすてきだと思って。話してみたくて、もっと…あなたを知りたくて」
彼の顔が赤くなっていく。
なぜだろう。
「あの…?」
彼がはっと我にかえったように慌てはじめる。
「あ…っと、その、??直球すぎっ!照れるってのっ!!」
怒っている?
「別に怒ってる訳じゃねーかんなっ!ただ、その…照れただけっ」
なるほど。
私なんかの言葉でも照れてくれたのか。
少しうれしい。
「てことはこれって、ラブレター?」
そう言われると、そうかもしれない。
「えっと…たぶん」
彼の顔が真剣になる。
「それなら俺は、答えらんない」
そうだろうな、と思ってた。
「えっと…それじゃあな」
彼がでていき、1人教室に残される。
…私も、帰ろう。
次の日。
いつもの道をいつもの時間に通る。
いつもと変わらない。
1つ除いて。
「柴崎、おはよう」
私の名前。
振り返る。
彼がいた。
「…おはよう」
彼が微笑み、私を抜かしていった。
知ってたんだ。
私の名前。
…昨日の手紙、あれはまぎれもなくラブレターだった。
だってあいさつされただけで、名前を知っていてくれただけで、こんなにも胸があつくなる。
涙が頬をつたう。
あなたは私の、初恋でした。