あなたの手を握った
握手をするように
それが精一杯だった
小さくて白くて綺麗で柔らかくて
本当はそのままあなたの身体を引き寄せて抱きしめてみたかった
僕が全然手を離そうとしないからあなたが少し困った顔をした
そうだよね
僕はいつもあなたを困らせてばかりだ
あなたが打ち明けてくれた過去も
あなたの今の想いも
そのせいで閉ざされた未来も
あなたを作る全てを僕は愛して行きたいのに
いつかは光をあなたに見せてあげたいのに
『あなたの過去も僕は背負いたいんだ』
重たいなんて感じないから
あなたは信じてくれないかもしれないけど
初めて人を愛したんだ
考え込む時に見せるあなたの癖
下を向いて自分の爪を触る癖
あなたをまた困らせた
どんなに断られても落ち込んでも立ち上がってあなたに向かえるのは
あなたを想わずにはいられないから
『私は消えない過去があってその過去を背負って苦しいのに、現実までも背負えない』
真っ直ぐに僕を見るあなたの目が胸に突き刺さる
分かってるよ
何度も聞いたよ
あなたはそれしか言ってくれないから
誰も信じられないことだって知っている
僕がその分あなたを信じてあげるから
それじゃ一方通行だってまたあなたは首を振るけど
あなたを苦しめる物を少しでも僕が背負いたいんだって
僕が何も言えずに俯くから
『ほら、君も私も弱いじゃない』
何かを見透かしたような君の目が僕は唯一苦手だ
そうだよ
君への想いがどんなに強くても
君にそう言われてしまうと自分の弱さを実感してしまうんだ
情けなく思い
君を守れるわけないって思えてくるんだ
でもさ
放っておくことは無理だよ
自分の気持ちに正直になれる
そんな人をやっと見付けたから
『私は甘え方を知らないから』
切なく響くあなたの言葉
考えてみるよ
あなたが頼れるような男になる術を