こんな風になるなんて
思ってもいなかった
10月の季節外れの花火
あなたを待つ間
マンションのベランダで
遠くで打ち上がる花火を見た
冷たい風が吹き始めた秋に私はあなたへの想いと綺麗な花火に心が踊った
今でも覚えている
あの日のことは
あの日に花火なんて上がらなければ良かったのに
あれから一年が経つのね
外から聞こえる音に動揺して洗濯物の手が止まる
去年見た花火
同じ音
同じ光
でもあなたはいないから
カーテンの隙間から見える花火が胸を締め付ける
どうしようもなく息が苦しくなる
そしてまた忘れられないあなたへの想いが爆発して涙が溢れる
一年の月日が二人を引き裂き
まだちゃんと受け入れられなくて
まだあなたが好きで
カーテンを閉めた
光が見えないように
音楽のボリュームを上げた
音が聞こえないように
季節外れの花火なんて大嫌い
『遅くなってごめんね』
って玄関のドアを開けて
目の前に立つあなたの笑顔を鮮明に思い出すから
『待ってたよ』って出迎えた私を抱きしめてくれたあなたの温もりを忘れることが出来ないでいるから
目を閉じて
耳を塞いで
落ちる涙を懸命に拭い
ただただじっと待った
この花火の終わりを
あなたを思い出して仕方がない
この想いも
いつか終わればいいと
そう願いながら