『生きる』ということ。<16>

黒魔法 天使 2011-10-12投稿
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そこには花を挿した花瓶を手にした看護師さんがいた。

あの時の看護師さんである。


「来ていたんだね…」

「………」

花瓶を机に置く。

少し羽琉を見ると
「痩せたね…ちゃんとご飯食べてる?」
と、心配そうに聞く。

「そんな事より…っ!」

羽琉は、いきなり看護師さんの肩を掴む。

「聖が…もう逝っちゃうって、本当ですか!?」

羽琉の目には、今にも零れそうなくらい涙が溜まっていた。

「…聞いたのね」

「じゃあ…」

「えぇ、本当よ…もう、目を覚ます事も無いかもしれないって…」

「……そうですか」

羽琉は手を離してまた、聖の方を向く。


「小澤さーん!ちょっと来てもらってもいい?」

他の看護師さんの声がした。

「あ、はーい今行きます!じゃあね…」

   -ガラッ-

看護師さんは病室を出ていった。


「…聖、起きてよ…また私に笑いかけてよ…」

羽琉は呟く。

「また海行こうって…約束したじゃん…
聖が笑ってないと淋しいじゃん…聖、お願いだから目を開けて…」


   -ピクンッ-

聖の身体が微かに動いた。

「聖…?」

「……ん」

聖はゆっくりと目を開ける。

「聖…!!」

「羽琉ちゃん…?」

「聖、よかった!
あ、今看護師さん呼んでくるから!」

羽琉が立ち上がると、聖が腕を掴む。

「羽琉ちゃん…泣いてる…?」

「な…泣いてないよ!本当に泣いてないから!」

羽琉は目に溜まった涙を拭きながら、急いで看護師さんを呼びに行った。



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