「御名答」
少女が振り返ると、後ろの段に腰をかけて、レオンは手を叩いていたが、目は怖いぐらいの殺気を放っていた。身震いがし、嫌な汗が少女の背中を伝った。
「貴方何者??・・何故わざわざレッド・クロスをかかげてるの??」
「教える義務は無い」
レオンはゆっくりと少女に近づいた。少女は「殺される」と思いぎゅっと目を瞑った。だが、レオンの靴音は少女の隣を通り過ぎていった。
「!!・・・??」
少女が振り返るとレオンは小舟に乗り旅支度をしていた。
「貴方どこに行くの??」
「さあな。あえて言うなら・・夢の島かな??」
「えっ??」
「じゃあな」
レオンは少女に背中を向けて、船を海に出した。
「・・ここはどこだ??」
レオンは海のど真ん中で首を傾げていた。
「南に行けば島がある」
「なら南の島か??・・・・・・・・・・・・!!??」
船の中を見渡すが誰もいない。でも、確かに先程の少女の声がした。
「ここよ」
少女は毛布の下の荷物に紛れていて、毛布をどけ下から出てきた。
「お前何しについて来た??」
レオンは冷静に少女を上から睨みつけた。少女はレオンを無視して辺りを見渡し、手に持った航海図とコンパスを見た。
「おい!!」
「間違い無いわ。ここはもう「ブレア」の海域に入ってる」
「お前航海出来るのか??」
「えぇ」
「・・じゃなくて。何故ついて来た??」
「返そうと思って」
「何がだ??」
「お金」
少女はポケットから先程レオンが少女に渡したお金を掌に乗せ、レオンに見せた。
「それだけの為に・・??」
「えぇ、そうよ」
「はぁ」
レオンは大きなため息をつきながら、少女からお金を受け取った。
「お前金あるのか??」
「無いわ」
「じゃあ、どうやって帰るつもりだ」
「ぁたしに帰る場所何か無い」
「!!??」
「あるとしたら・・」
「ん??」
「夢の島だけよ」
少女は眉をひそめ、酷く傷つき今にも泣き出しそうな顔で小さく笑った。