踵は宙に浮き、真っ白な細くしなやかな手はレクスの肩へ。
艶めいた淡いピンクの唇は重なりあった。
会場が一気に静まり返り皆が息を呑んでステージの上を見ている。
リアがそっと唇を離そうとすると、頭をレクスに固定されそれ以上退けなくなる。
「レ…クス……?」
「もうおしまい?」
「…っぁ……。」
吐息がリアの身体を戦慄かせた。
それと同時にレクスの手は段々と肌をなぞりあげる。
くすぐったさに身体を退こうとするが、回している腕がそれを許さない。
離してもらおうと口を開きかけるがすぐに塞がれた。
「ん……。」
口を開きかけていただけに、簡単に繋がりを深くされた。
甘い声が漏れる。
「感じてるの?キスだけで。リア可愛い。」
少し唇を離すとからかうように囁く。
言葉と羞恥、それに息のまともにできない状態に頬が朱に染まる。
それさえもレクスにとっては面白くて。
リアが胸にすがりついてくるまで続けた。
「もう…十分……楽しんだ…でしょ……?」
涙目になり息も荒い。
レクスはそんなリアの身体を軽く支えていた。
リアの髪を一房掬って口づけると、軽く微笑んで下で呆然としている関係者を見た。
「皆さんにお知らせしていなかったことがあります。一年前のことになりますが。」
一つ息を吐き、また吸って口を開いた。
「俺とリアは既に誓いあった仲です。」
レクスがそう言うとざわめきが起こった。
「一体どういう意味なのかお教え願えますか?」
叔母がきつい口調で問うとリアの手が下に下り、レクスの手に重なった。
「そう、そうよ。」
リアは軽く目を見開き呟いた。
「そう。もう私達はあそこの教会で」
止まった刻がたしかに動き出す。
「結婚したのよ。」