「後楽園ホールって、プロレスとかボクシングとかよくやってる?」
とわたしが聞くと、お兄さんが言いました。
「そうそう。今日はアッパーカットツアーのメイン。リョウがリングに上がって歌うんだ」
「リョウ、って誰?」
とわたしが考えてるうちに会場に着くと、そこにはイケてない格好の、大勢の男女であふれていました。
お兄さんについていくままホールに入ると、真ん中のリング上には、シンプルなドラムセットとマイクが置かれていました。
しばらくして、会場のライトが消え、客席はがぜん盛り上がります。
すると周りから、一気にAKBコールが巻き起こりました。
でも、よく聞くと、それはAKBコールではありません。
わたしが聞いた限り、それは、
「エーアールビー!エーアールビー!」コールに聞こえました。
「エーアールビー!エーアールビー!」
会場の男女によるコールは、ますます大きくなっていきます。
やがて花道から、全身にタトゥーの入ったツルツル頭のこわそうな男の人をはじめとした、演奏メンバーの人たちがリングに上がりました。
そして最後に目がギラついたオールバックの男の人がリングに上がると、会場のボルテージは最高ちょうで、となりのお兄さんも興奮しながら、
「リョウかっこえぇなあ!な、な、ネーチャン!アンタの好きな『アフター45』も、後できっとやるぜ」
と言いました。
あの〜、「ARB」でも「45」でもなくて、わたしが見にきたのは「AKB48」なんですけど。。
ま、いっか。
せっかくなので、その後はわたしも、そのリング上の白熱のステージを、お兄さんと楽しみました。
ライブが終わって会場を出ると、突然ビュッと風がふき、それまで隣にいたお兄さんはいつの間にかいなくなり、ふと横を見上げると、さっきまでなかった巨大な東京ドームが再び高くそびえていました。
驚いた瞬間、今度は圏外だったはずの携帯が鳴り、電話の先には懐かしの(?)クミの元気な声が聞こえてきました。
あ〜良かった(^o^;)=3
(おわり)