ゴールネットが…ゆれる。「よっしゃあ!」
「その調子だ!カズヒロ!」
ユウタにもみくちゃにされるカズヒロ。
カズヒロはアキを見つけると、ガッツポーズをした。
アキは、それを満面の笑みで受けとめた。
『ありがとう…。』
開始25分。今度はヒロがゴール。2点目。
しかしヒロはこれで満足と思ったのか、喘息を理由に離脱してしまった。
本当は、喘息なんて、してなかったんだけど。
ヒロは、真っ先にある人のもとへ走った。
『ありがとう…。』事の始まりは、
アキがカズヒロに感謝の気持ちを独り言で呟いていた時。
その背後からサユに手をとられ、連れていかれる様子を見てしまったのだ。
カズヒロが抜けてしまうと、2の1は劣勢になる…。本当は自分が助けるのは、カズヒロに悪い…。
様々な気持ちが交錯しながらも、ヒロは真っすぐアキのもとへ走った。
2の1の教室。クラスマッチ中なので、がらんとしている。
「あの…さ…。」
アキは震えているだけだ。
「カズヒロのこと、縛りつけてんじゃねーよ。」
『縛り…つけてる?』
「とぼけんなよ。」
サユは鉄パイプを持っている。迂闊に近づいたら、さらに怪我させられる。
「早く…ろう学校行って。申し込みしたんでしょ?」