誇らかに咲くには早すぎて。
徒の花よと嘯くには遅すぎて。
そんな季節だった。
あいつと会ったのは―――\r
〜永遠の子供たち〜
「どうしたの、そんなところで?」
准は、急に声をかけられて戸惑った。
相手の要望がとくに変わっているわけではない。
むしろ愛らしく、明るい活発な少女、という感じだった。
この年齢にしては、少し小柄なくらいだろう。
なんの疑いもなく、日々の生活を無邪気に享受しているように見えた。
准が戸惑ったのは、その少女があまりにも普通だったからだ。
今まで、珍しがられたり逆に避けられたりはしても、
このように無防備に、あけすけに、声をかけてくるものなどいなかった。
───いや、いた。
昔は「不良」と呼ばれたであろう類の、ゴロツキどもだ。
准を見るや、こちらは睨んだわけでもないのに、からんでくる。
まあ、准にしてみれば好都合ではあったが。
だから、戸惑った。この少女が声をかけてくるとは。
准は、「ふつう」ではなかったから。